重い鞄の取っ手 その3 Apr.12,2003



重い鞄用の取っ手はどんな形が適しているんだろうと
いろいろ考えながら作ってきました。

普通のときに持ってみて、握り心地がよい、持ちやすい、というだけでは
実際に使ってみると良くないこともある
ということもわかってきました。

この写真は鞄を作り始めたばかりのほんとに初期の頃に作った
T301 の取っ手です。



見かけは別として、使い心地はまぁそれなりに悪くはなかったのですが、
普通の人と比べて「ひと節足りない」、「全部親指」といわれている私の指の長さでは
ちょっと太すぎでしたし、断面が角張りすぎていて
握り心地が今ひとつでした。


次に作ってみたのが A101 の取っ手です。
作り方は「取っ手を作る その1」に紹介してあります。
右側の写真は、ほぼ同じ構造の試作品の取っ手の断面です。

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握り心地もよく、手に優しくなじむような感じがします。
当初は何の不満もない取っ手ができたように思ったのですが、
実際に荷物をたくさん入れて重くなった状態で長い時間持って疲れがたまってくると、
元気な時には気がつかなかったけれども
丸い断面に指が引っかかるところがないために、
持つために握力をたくさん必要としていたということを
しみじみと思い知らされることになりました。
夏場に汗ばんでいる時や、雨が降って濡れている時には
革の表面が滑りにくくなっているので、この形状でも良いのですが
乾燥している時はだめです。


その次に、少し小さい中量級の鞄B101 用に作った取っ手が次の写真のものです。
作り方は「取っ手を作る その4」に紹介してあります。
右側の写真は、その断面です。

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あまり重くない鞄用ということもあって、
指の関節にちょうど引っかかるようにしてみたらどうだろうかと思い、
底部が少し尖った断面にしてみました。
たしかに重くない時には何も不自由は感じられず快適だったのですが、
中型のビジネスバッグとはいえ、パソコンだの書類だのを詰め込んでそこそこの重さになると
手に食い込む感じがして不快になることがわかりました。
そういうこともあって半年ほどでこの鞄の取っ手は
下の写真のような断面が角ばって底が比較的平らな形状に作り変えました。
作り方は「取っ手を作る その8」に紹介してあります。




これらの経験を踏まえて
T101 用に作った取っ手が次の写真のものです。
作り方は「取っ手を作る その7」に紹介してあります。
右の写真は、その前に作ってちょっと不満があったので作り直すことにした
「取っ手を作る その6」に紹介してある取っ手の断面です。
実際に使用したものより、断面が少しだけ丸くなっています。

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ちょっと細身な感じがしますが、これはまあまあの仕上がりです。


その後B301 用にもう少し底面を平らにした取っ手を作りました。
作り方は「取っ手を作る その9」に紹介してあります。





結局の所、断面は丸いほうが握った時の感触はよいけれども、
指に引っかかるところがないと疲れた時につらい。
表面が滑りにくければよいのだが、革で作るからには乾いていると滑りやすくなってしまう。
う〜ん、底面の部分の芯材にゴムのような物を使って、
重さがかかった時にちょっと変形するようにするといいだろうか。




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